令和7年6月の漁業アカデミー
- 管理者
- 6月30日
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6月になり、8日ごろに梅雨入りしたかと思えば、27日ごろに梅雨明けとなり、過去最短の梅雨となりました。じめじめとした蒸し暑い時期ですが、研修生は実地研修や資格取得に励んでおります。
〇進路選択オリエンテーションin伊座利(6/3~6)
場所:海部郡美波町伊座利
内容:伊座利漁協 大型定置網(大敷網)及びアラメ乾燥実習
参加研修生:一般コース2名、専攻コース2名 計4名
6月3日(火)から6日(金)まで伊座利漁業協同組合及び大敷水産有限会社関係者の指導の下、大型定置網(大敷網)とアラメ乾燥作業の実習に研修生4名が参加しました。
火曜日は伊座利大敷網の休漁日であったため、初日は伊座利漁協の組合長や大敷水産有限会社の方々による、伊座利地区や大敷網についてのオリエンテーションを実施していただいた。
研修期間中天候は良く、大敷網は4日から6日の3日間操業し、3日とも乗船研修を行うことが出来ました。伊座利地区の大敷網は港から10分程度で到着する場所に設置されています。アカデミー7期生1名も現在、長期研修中で、鋭意作業に取り組んでおりました。研修中の漁獲のメインは延縄の活餌用の豆アジやイワシ類で、3日間とも生け簀や漁場で近隣の椿泊漁協の延縄漁業者への受け渡しが行われました。研修生も見学したり活餌の受け渡しを体験させていただき、単に漁獲するだけでなく、様々な漁業とも関係していることを学びました。また、研修生は大敷水産が運営するおさかな食堂「弘伸丸」での六次化研修を行ったり、大敷網の洗浄実習を行ったり、空き時間には毎日アラメ天日干し実習を行いました。
今年の研修は実施日全て天気が良く、充実した研修となりました。この場をお借りし、組合長をはじめとする伊座利漁業協同組合関係者の皆様、4日間早朝からご指導いただいた大敷水産有限会社社長ほか乗組員の皆様に心より厚くお礼申し上げます。

伊座利漁協及び大敷水産有限会社の関係者によるオリエンテーション

大敷網の漁獲風景
延縄の活餌用に活きのいい小アジや小サバは網で丁寧に掬い上げます。
研修生も参加させていただきました。

漁獲物の選別風景
水揚げされた漁獲物は関係者総出で台の上で選別します。
研修生も参加させていただきました。

アラメ乾燥作業風景
茎を切り取ったアラメを漁港の空きスペースで天日干しを行う。
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〇進路選択オリエンテーションin椿泊(6/16~20)
場所:阿南市椿泊町
内容:椿泊漁協 延縄・小型定置網実習、アカデミー卒業生等との意見交換会
参加研修生:一般コース3名
6月16日(月)から20日(金)まで、研修生3名が参加し、椿泊漁協所属漁業者(世話役の延縄部会会長ほか)の指導の下でオリエンテーション、ハモ延縄漁業及び小型定置網(底定置)実習を行いました。今回は現場での漁業実習のほか、昨年度に引き続き漁業アカデミー卒業生ほか若手漁業者との意見交換会も実施しました。
概要は次のとおりです。
6月16日(月)
漁協事務所2階において、とくしま漁業アカデミー講師である延縄部会会長から、資料に基づき椿泊漁協の概要、延縄部会の説明、行われている漁業種類、主に水揚げされる魚種等のほか、今回の現地実習全般の注意点について説明いただきました。

オリエンテーション風景
6月17日(火)~18日(水)
研修2・3日目は、研修生3名が3隻に分かれ、ハモ延縄漁の実習を行いました。引率の事務局担当も漁船に乗り組み取材させていただきました。
乗船した3隻は餌の活アジを漁船に積み込むため14時頃出船し、各自の小割で活アジを積み込み、尾切り作業を行った後、紀伊水道内の各漁場で漁を実施しました。漁場は出漁船や班の順番により無線で場所決めを行い、日が暮れてきた18時30分頃から縄入れが開始となりました。事務局担当が乗船した漁船は20時過ぎから縄揚げを行い、ほぼ外道なく多数のハモを釣り上げ、23時に帰港、24時に水槽搬入を終え、翌3時30分の選別開始まで一旦解散となりました(研修生2名が乗船した漁船も各々帰港)。3時30分に再集合し、組合職員が素早くサイズ選別、計量、伝票記入を実施していきました。その間、ハモ以外の外道やアガリハモの水揚げ、計量を別途実施し、研修生も各乗船した講師の下、体験させていただきました。アガリを含めるとこの日は割と多く(1隻あたり100-200kg程度)ハモが漁獲されたとのことです。4時30分頃、約1時間でハモ縄での水揚げ・選別・計量作業が終了しました。
研修生は水揚げまでの一連の作業を全て体験することが出来ました。

活餌の小アジの下準備方法を教わる研修生

次々とハモを釣り上げる延縄講師。
熟練の手返しの速さに驚愕しました。

活ハモは選別前に荷捌き所の水槽へ入れ、活かしておく。

アガリのハモの選別作業
選別後に計量を行い、氷の入ったパンライト水槽に入れられます。

活ハモの計量も手伝いました。
6月19日(木)
研修4日目は、アマダイ延縄漁の実習を行いました。
朝3時30分に港に集合し、出港。伊島周辺のポイントまで移動し、4時30分ごろに縄入れ、5時30分から網揚げを開始しました。講師が手本を見せていただいた後、研修生が網入れから網揚げまでを体験させていただきました。縄を揚げながら、針を鉢に刺す作業に苦戦しつつ、数尾のアマダイを揚げることが出来ました。
7時ごろに2回目の縄入れを行い、8時ごろに縄を揚げ、9時ごろに漁が終わったため帰港し、9時30分から水揚げ作業が行われました。水揚げでは、講師や組合職員から選別や計量方法を教わりつつ、一通りの水揚げ作業を体験することが出来ました。

講師に指導してもらいつつ、縄入れを行う
研修生
針に餌を刺す作業、針を海へ投げ入れるタイミングに苦戦していました。

講師に操船をしてもらいながら、縄揚げを行う研修生
縄を回収し針を鉢に戻す作業に苦戦しつつも、作業後半には少し手際が良くなっていたように感じた

自ら縄揚げをし、アマダイを釣り上げた
研修生
6月20日(金)
研修最終日の午前は、底定置網漁(小型定置網)の実習を行いました。
今回乗船した底定置網漁船には、アカデミー8期生が就業しており、講師とともにアカデミー研修生に底定置網漁やタコ籠漁の他、アカデミー研修生時代の話や卒業後の話などをしていただいた。
朝7時ごろに港を出港し、15分ほどで漁場に到着しました。この時期は漁が多くないため、1、2日毎に網揚げを行っているとの話でした。当日は2統分(つぼ網左右2か所×2統)の網揚げを実施しました。研修生は網揚げ作業や活け間への取り込み作業を体験しました。漁獲物は小アジが多く水揚げされ、ハモ縄の餌になるため、水揚げ時に専用の網で船上で選別しました。その他漁獲物は活け又は鮮魚として選別しました。なお、売り物にならない小魚やウミヘビは再放流せず、タコ籠用の餌として有効活用するそうです。網揚げ後、延縄漁業者が設置する小割に向かい、2軒に活アジを搬入しました。研修生は小割への搬入作業を体験しましたが、伊座利漁協での方法と同様、袋付き網で海水ごと掬う必要があるため、慣れないと見た目以上に相当大変な作業とのことでした。 その後、荷捌き所にて、その他漁獲物の水揚げ作業を行いました。研修生にとっては定置網でも底定置は初めて見る漁法で、同じ定置網でも漁場や対象魚により漁法が異なることを学び、また、漁獲物を無駄なく利用することも学び、有意義な研修となりました。

漁場で定置網に設置されたつぼ網(魚取部)を船上に引き揚げます。

網に入った獲物はたも網ですくいあげ、船上で選別後、生簀に入れます。

先輩(8期生)の腰の入ったすくいあげのお手本

注文分を延縄漁業者が設置する小割に搬入しました。この作業は慣れないとかなりの重労働で、コツをつかんでの作業が重要です。
研修最終日の午後は、昨年に引き続き、参加研修生とアカデミー卒業生4名、講師との意見交換会を実施していただき、ざっくばらんに意見交換が行われました。講師及び若手漁業者から、漁業技術、独立に当たっての漁船・住居確保・資金面の苦労話のほか、7期生のリアルな漁船リースのリース料に関する話は、参加した研修生のみならず、その他若手漁師も驚きをもって聞いていたのが印象的でした。昨年に引き続き研修生から、意見交換会はとてもためになったとの意見が聞かれました。

講師やアカデミー卒業生からとてもためになる話をしていただきました。
今年の研修は椿泊漁協でも実施日全て天気が良く、充実した研修となりました。この場をお借りし、組合長をはじめとする椿泊漁業協同組合関係者の皆様、5日間ご指導いただいた延縄部会会長である紀伊水道延縄連合会会長、個別指導いただいた漁業者の皆様に心より厚くお礼申し上げます。
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〇玉掛け技能講習(6/23~26)
場所:徳島市東沖州 中央技能講習所株式会社
参加研修生:一般コース3名、専攻コース8名 計11名
とくしま漁業アカデミーでは、漁業就業に役立つ資格取得を推進しており、その一環として、マリンピア内にある中央技能講習所株式会社において、玉掛け技能講習を研修生11名が受講しました。
玉掛け技能は、定置網や養殖においてつり上げ荷重1トン以上のクレーンや移動式クレーンを使って資材や網等を吊り上げる際、フックを資材に掛けたり外したりする玉掛け作業を行う際に必要となる重要な資格となっています。研修生は6月23、24日の2日間学科講義を受け、25日、26日に実技+修了審査を受講し、最後に実技試験を受けました。今年は屋外での実技講習日は晴天で気候も良く、全員が無事修了・合格となり、最後に修了証が交付されました。

学科受講風景

実技の説明を受ける研修生

実技講習中の研修生

実技講習中の研修生



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